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スピ再技研オフ会雑感

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スピーカー再生技術研究会 オフ会が、
11/5(土) 中野ゼロ 視聴覚室で行われました。

拙作「ダイソー1800」を持参。
全9人の発表がクジ順で行われました。
最遠の参加者は東の匠ことKenbeさんでした。

今回の発表全体の傾向として、
実験的な機体というより、
実験そのものを実施する趣向が多く、
個々の機体の音に言及するのははばかれます。

技術発表として今オフ会を振り返ると、
明らかな傾向が見られました。

まず、石田式BHBSです。
高橋さん、加藤さんの機体がこれで、
Kenbeさん本人ご持参の2機と
秋葉さんのやや変形バージョンも加えると
合計5機登場でした。

いくつか聴いてきた中で、
石田式BHBSの特長は、
ワイドレンジと低音のダンピングを両立させやすい方式と言えそうです。
バックロード部さえしっかり設計されていれば、ダクトの調整で狙い通りの低音を得られます。
逆に言うとネックはこのバックロード部の設計です。
数式化を強く望みます。

興味深いのが、加藤さんとKenbeさんの
OMーMF4-MICAを使った機体です。
同じ石田式BHBSで外形サイズもほぼ同じですが、
内部設計と板材に大きな違いがありました。

Kenbe 機では10ccノットインラブでのスネアドラム再生で時々ハッとするような音場感が出てましたので、
厳密に測定すれば、多分Kenbe機の方がレンジは伸びているのではないかという気はしてます。

対して、加藤機の低音はギリギリまで高い音圧レベルを保っており、
視聴レベルでのキレのいい低音フィーリングにチューニングされ、
パッと聴いたイメージでは加藤機の方がワイドレンジです。
バスレフ方式の良い面が出ています。

Kenbe機は中高域の分解能とトランジェントに分があり、加藤機は視聴レンジと低音の質に勝るように聞こえました。
わずかな差ですが、
総じて加藤機の方が余力があるように感じました。

正直にKenbeさんにお話したところ、
内容積の差ではないかとのことでした。
加藤機の隔壁はボイド管、
Kenbe機は外装と同じ板厚のあるアカシア集成材。
板厚による内部容積は差がかなりあります。
となると、OMーMF4-MICAでA4サイズはやや苦しい容量なのかもしれません。

音場型も考えさせる内容がありました。
小高さんは4ch再生の実演、
おおさわさんはヒドラ型の音場型スピーカー。
私、ケイは後面開放です。
秋葉さんの機体はいろいろあって擬似音場型になってました。
音場型、計4名。

音場型で問題になるのは、
音場の広がりとレンジと定位を高次元にまとめることが難しい点があります。
おおさわさんは発表時に
松さんの「ASURA(アシュラ)」の高みについて触れていました。
「ASURA」の評価については同感です。
その凄さは言葉に尽くせない程の衝撃で、
実試聴でこれを超えるスピーカーは未だに出会っておりません。
(「ASURA」については拙ブログ2011年9月11日に記載があります)

ダンプドバスレフも5機。
穐山さんと鈴木会長はストロー状のものをバスレフダクトに充填してます。そしてスリットで秋葉さん、高橋さん、おおさわさん。

気になる技術、全てに登場した秋葉さんが三冠というオフ会でしたが、
本当のテーマはSDGsだったような気もします。

運営の鈴木会長、加藤さんをはじめ、皆様に感謝です。
ありがとうございました。
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トライポッド再び

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祝 10年 スピーカー再生技術研究会 !

第1回のスピーカー再生技術研究会のオフ会が行われたのは2010年10月。
会の末席を汚してしております私ケイですが、
何と、第1回の会場にいたのですよ。

きっかけは三島の匠ことkenbeさんのブログに告知されていたので、興味本位で当日におじゃましたしました。

当時もスピーカーは作っておりましたが、
バスレフ計算式ぐらいは使うものの、全くの自己流だったので、
発表作品のレベルの高さに度肝を抜かれました。
素直にスゲーな、と。

会の終わりに、発表作品をいただけるイベントがあり、会副会長の松ヒトシさんの「トライポッド」をいただくことができ、お持ち帰りいたしました。

トライポッドは音場型スピーカーで、前面にフルレンジとツィーター、背面はフルレンジ2発にパッシブコーンユニットを4機搭載しています。
全面フルレンジはダンプ剤が塗布され、背面パッシブラジエターはウェイト追加でチューニングされています。

回路は不明ながら当時、松さんが行っていた音場型回路で結線されていると推察しております。

気室は半球型。
パイン材の積層で実現しております。
例によって驚愕の工作技術です。

特異な形状は、当時絶滅危惧技術のバッフル効果を狙ったものです。

自宅に持ち帰り、鳴らしてみましたが、
何だかうまく鳴りません。
セッティングもいろいろ試したのですが、
自宅がライブすぎるようで、中低音がボアボアしていた記憶があります。
それ以来、立派なオブジェとなっていました。
松さん、ごめんなさい。

苦節10年、
トライポッド復活です。
まずは、縦横10mのライブな部屋で音出しです。

うーん、やっぱり、ボーカルの下がボワーンとなります。
音場感はあるものの、定位がよくありません。
自宅で鳴らした時の印象のままです。
しばらく鳴らしていると、
だんだん良くなってきます。
どうやら、準備運動が必要だったようです。
でも、ネガはやや残ったままでした。

さて、今度は会場を変えます。
先程の倍の広さで、音響専用に設計された部屋で、
天井は、斜めの段々で、壁と天井は有孔吸音ボードです。
一段高いカーペット敷きの上にセッティングし、音出しです。

おお!
すごくいい。
先程の音の濁りは微塵もありません。
全体的にはカマボコ型のF特に感じますが、
音の粒立ちがいいです。
レンジだけなら、このままでバランスがいいし、
マニア向けなら、サブウーハーの追加だけで十分。

何よりいいのが音場感。
先程とは雲泥の差で、
定位はスピーカーのやや後ろに並び、楽器位置も分かります。
音場は驚異的に広く、スピーカーの左右1mは外まで定位してます。
ただ、前後位置まではよく分かりません。

ごめんよ、トライポッド。
こんなに実力が高かったなんて、知らなかったよ。
でも、君、場所を選ばねえ。

2018スピ再技研10

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十番手、最後の発表はおおさわさん、
「テレスコ2」
「ジャンクウーハー使用の2Wayバッフル」
「音場型バッフル」

お題が3つありますが、テレスコ2はエンクロージャーで、後の二つはそれに取り付けるアタッチメントバッフルです。

テレスコ2は容量可変エンクロージャー。
2つの箱を組み合わせて、スライドさせることにより、容量変更を行います。
箱同士の隙間はスリットダクトとして活用。
計算上は容量変化によるダクト共振周波数は変わらないとのこと。
なるほど、うまくできています。

これにまずは2Wayバッフルを取り付けます。
2Wayって言ってますが、バッフルに取り付けられているのはジャンクウーハーのみで、
ツィーターは何とバッフル前面の端子からブラブラとぶら下がっています。

音出しです。
むちゃくちゃブーミーです。
なんじゃこれはというレベルです。

が、箱を伸ばして容量を増やすと、あれ?マシになりました。
いや、かなりいい。

驚愕の変化です。
容量はたかだか1.5倍程の変化しかありませんが、どうしてこんなに聴感で変わるのでしょうか?
不思議です。

後半は音場型バッフルに換装!
ヒドラ型、この会ではASURAII型と言うべきかな。
高さの異なる塩ビ管の4本の柱に四方を向いたフルレンジが取り付けられています。

塩ビ管円柱は下部が解放され、テレスコ2につながっています。

音出しです。

サーっと後方に広い音場が現れます。
ああ、この感じはASURAIIを彷彿させます。
ただ、ASURAII程のリアル感は届きません。

このシステムの優れたところは、ユニット向きが自在に変えられることです。
塩ビ管なので、クルクル回せばどの向きにもユニットを向けられます。

松さんのASURAIIは各ユニット上面に反射板も設置して音場をさらにコントロールしていましたが、こちらはありません。
いろいろな差はユニットのせいなのか、反射板のせいなのか、サブウーハーがないせいなのかは分かりません。

見た目に違わずこれは面白い!
塩ビ管と組み合わせたところが白眉です。

2018スピ再技研9

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九番手、愛知県から参加の河辺倉司さん、
「SIDBR18W」

SIDBRとはシールド インナー ドーム バスレフの頭文字のようです。
ユニットはタンバンの平面振動板。

スピーカー造りとはいったいなんだろう?
そんな哲学的な問いをこのスピーカーは私たちに問いかけてきます。

2018スピ再技研8

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八番手、穐山宗司さん、
「バッフルの振動を減衰させた多空気室バスレフシステム」(改善フィードバック)

ナラ材のバッフルが美しい機体です。
ダクト穴も全てルーター加工され、今回のオフ会で1.2位を争う仕上げレベルです。

2週間前のオフ会からの改良版です。
第1気室の穴を塞ぐだけなのに、わざわざ裏板を作り直しています。
手間のかけ方もすごい。
私だったらボロ切れを突っ込んで終わりにしてたかも…

ユニットはMark Audio Alpair6P。
お高いユニットです。

内部は4つの気室に別れていて、第4気室で2.3気室を連結。外部につながるダクトは2.3.4気室から計3本です。
隔壁も含めフローティングで連結させるという凝った構造です。

さて、音出しです。

全体的には軽い音です。
中音は滑らかでフルレンジ特有の荒れが少なく感じます。

低音は伸びはあるものの薄い印象です。
低音の音圧が少ないのにダンピングの悪さを感じます。

前回はオルガンは苦しかったものの、とても締まったドライな低音だったので、今回のゆるい低音はかなりの変化です。

別の曲ではベース音が電子音のようにも聴こえてしまったのですが、それはもともと電子音だったのかもしれません。

また、前回は付帯音の少ないナチュラルな中高音でしたが、今回は妙なクセが気になりました。
例えが悪くて申し訳ないのですが、AMラジオっぽいというか、拡声器っぽいというべきか…

勝手な想像ですが、第1気室の容量が少なすぎるのではないでしょうか?
資料の縦断面図では、ユニットから遠い気室ほど容積が大きくなっています。
躯体のコンパクトさから見ても、全体的にもう少し大きい方が良さそうに感じます。
前回は第1気室の外部ダクトから音圧漏れはあったものの、ユニット背圧も少なかったので、かえって振動板の動きが良かったのかもしれません。

あと、なぜかピアノの残響音に金属っぽい響きが乗ってきます。
ひょっとしたらソースかもしれませんが、それも少し気になりました。

今回、完調ではなかったのかもしれません。
小さめのユニットならエンクロージャーの性能を引き出せたかもしれません。


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