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バスレフバックロードまとめ

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等価式のことはひとまず置いといて、

今回のスピーカー作りは、
いろいろな方からご意見をいただいたり、
改めて資料を読み返したりと、
実に楽しめました。

さて、お題である、
バスレフとバックロードの融合はうまくいったのでしょうか?

詳細データと考察は
「スピーカー再生技術研究会」レポートとして会のHPに載せますので、
そこをご覧いただくとして、
ここでは簡単に。

技術的なキモは、
ユニット振動板直後からのバックキャビィ分離はできたのか?
ということです。

考えられる分離のパラメータは
1 ユニット振動板から隔壁までの距離、
2 背面圧力(ユニット入力と言ってもいい)

そしてその検証方法は
バスレフ部ダクト共振の実測値と理論値とのズレ。

1 についてはダンパー構造を変えない限りは、背面フレーム位置で隔壁を構築するしかありません。
バックロード部を開放している限り、
この隔壁は機能しているという測定結果でした。

ところが、
バックロード部の音道中間点を板で塞ぐと、
バスレフ部の特性が明らかに変わります。
これは背面圧力によって特性が変わる転換点があるいうことです。

そこで、2の項目になります。
圧力転換点、あるいは隔壁が作動する閾値が
ある。

つまりバックロード部がバックロードとして作動している限り、
バスレフ部に干渉はないけど、
バックロード部を密閉型として扱うと、
途端にバスレフ部に干渉が起こるということです。

さらに言い換えると、
バックロードの背圧ならバスレフ側に圧力漏れはないけど、
密閉の圧力に(仮想)隔壁は耐えられない、ってことのようです。

ユニット入力によっては、
バックロード部を正常動作させていても、
隔壁破壊(特性上)が起こる可能性もありますが、
耐入力の20Wまでは大丈夫でした。

さらに、その圧力と周波数の
2次元のマップ構築は全然できていません。

今回のポイントはそんな感じで、
条件付きならできているんじゃね?
でもその条件はよく分からん。
労力かける意味があるのかね?
という拙い結論ですが、どうでしょう。

音については知らん。
実験会場の机置きから床置きになったら、
意外に低音が出ているのに気付きました。
もちろん「低音出てる感」ですけど。

昭和50年ごろの高級ラジカセみたいな音だなとも感じます。
どこが、と言われても何となくです。
強いて言うと、
高音のシャキシャキした音がダブルコーンみたいだし、
低音の緩さにムリにブーストした感が出ています。


もうちょっと つづく






恥を晒してみる

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すっごく勘違いしてました。

fx=10×S0/Va

これって長岡式のクロスオーバー算出式で
Va はバックキャビィ容積のことだったんですね。

要は、コレを基準にして、
そうなるようにホーン長やホーン開口部面積を決めよ!
ということですよね〜。

このVaをホーン容積と勘違いして、
さらにfx を設定すべきクロスオーバー周波数ではなく、
結果として現れる再生限界周波数かと思って、

そんな公式があったんかいな!

と勝手に驚愕していました。

オマケに、ホーン容積ってどうやって計算するんかな?
積分だな。
などと調べ始めたりと、
元の一歩が違って、バタフライ効果並みに
さらに変なことをしでかすところでした。

考察過程で、
式を変形したり、何したりすると、
私の解釈ではどうしても矛盾があることでやっと気付きました。

矛盾の一例では、
開口部面積が同じで、
ドライバーが大小2種類のホーンをそれぞれ用意します。
小さいドライバーを使ったホーンは
スロート面積が狭く、
かつホーン長も長くなるために、
ホーン容積が大きくなります。

勘違いした式に私の解釈で当てはめると、
分母が大きく分子が小さいので、
fx は低い値になります。

次に大きなドライバーだと、
スロート面積が広く、
同じ開口部面積だと、ホーンは短くていいので、ホーン容積は小さい。
分母が小さく、分子が大きいので、
fxが大きくなります。

これは明らかにおかしい。

そんな訳で壮大な勘違いにやっと気付きました。
恥を偲んで、考察過程のメモをそのまま載せます。

我ながらバカすぎる。

しかーし!
無駄死にではないぞ。
エンクロージャー方式による、
等価式を比較して、
面白いことに気付きました。

また、壮大な勘違いの可能性がありそうなのが怖い。

つづく(かも)


ラスト調整

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現在バスレフ部のダクトは、
共振周波数100Hzです。

いくら自称8cmクラスで実体6cmの小型ユニットとはいえ、
論外に低音が出ない設計になっています。

実際の再生も100Hz以下はダメで、
バックロード部が全く仕事をしていないかのような周波数特性を有しています。

このダクトを80Hzぐらいまで下げれば、
もうちょい、マシになるかな、と。


以前ボツになったダクトと
長さ調整アダプタをたくさん用意して、
再び測定&視聴。

詳細は省きますが、
低域を伸ばした設計のダクトはどれも設計通りに作動しており、
軸上1mの全体F特もそれを反映したものでした。

70Hzから10Hz刻みで100Hz まで、
断面積違いも含めて6種試した結果、
断面積大きめの100Hzを最終的に選択しました。

このダクトはバックロード部の調整を終える前に決定したものと同じで、
結局、何も変わらないことになりました。

試聴では、F特と真逆のイメージで、
一番「低音出てる感」があり、
ボーカルもふくよかで聴きやすい。

で、実際に低音が出ているかというと、
多分出てない。
とにかく「低音出てる感」です。

他のダクトがイマイチだったのは、
「ムリにダクトで低音を伸ばすと、中低音が痩せてよくないですよ」
ってヤツかな。

ダクトはどれを選んでも
定在波のような澱んだ共振がボーカルにあるのが気に入らない。
コイツは部屋の影響だけとは言えないな。
あちらを立てればこちらが立たずで、
これ以上の調整は私の実力ではムリっ!

グダグダ続けて来た
「バスレフバックロード」は
ひとまず終了です。

初期設計では長い直方体だったのに
かなり違う形になってしまいました。

最終スペックを載せます。

機体名 「バスレフバックロード」
ユニット、ParcAudio DCU-F102W
     (8cmクラス)6Ω
バックロード部
  バックキャビィ容積 不明
  スロート面積 9.6cm2
  音道長 1.7m
  広がり定数1.5
  背面開口部2/3閉鎖
  吸音材有り(粗毛フェルト、タオル)
バスレフ部
  ダクト面積 5.8cm2
  ダクト長  3.3cm
  ダクト共振周波数100Hz
  チムニーダクト
  エンクロージャー容積 3.0リットル
  吸音材 有り(粗毛フェルト)
ネットワーク
  コイル1.2mH シリーズ接続
  (8kHzより6dB/oct)
ターミナルで選択
再生帯域 80Hz〜18kHz
(軸上1m -10dB)
エンクロージャー MDF ・PLA
  高980*幅220*奥260
  4ピース構成
音響レンズ(メラミンフォーム)
重量 ———
  塗装 ラッカー(一部)
  ユニット固定 M4ボルト


考察してみた

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「計算もしないでスピーカーを作っているんですかっ!」
いろんな意味で驚愕されたので、

「バスレフバックロード」のバスレフ部
  面積   5.8cm2
  ダクト長  3.3cm
ダクト容積19.1cm3
  箱容積 3.0リットル

コイツがバスレフ計算式とどれだけ合致しているか、
確認してみましょう。

計算式は省略します。

結果、計算値は94Hz。
実測値は100Hzだったので、
思った以上に計算値に近いです。
計算値とのズレは6%。

計算値の箱容積には吸音材と一部の隔壁材を入れてませんので、
それを加味すると、ほぼ計算通りになってました。

これはどうとらえればいいのかな?

まず、バックロード部はバスレフ容量としては機能していない。
皆さんご存知のようにバスレフ計算式にはエンクロージャー容積が入っているので、
計算値が合うと言うことは、
初期設計容積がそのままバスレフ容積になっていると言えます。
バックロードとの隔壁が不十分だと現れる、
計算値とのズレがないからです。

かと言って、
隔壁が十分かと言うとそんなことは全然なくて、
バックロード部の第三気室を閉鎖すると、
ダクト開口部の特性が変わります。
閉じると共振の山が二つ出ることは以前実験で確認した通りです。

第一気室を経ずに、振動板背後から複数の気室分離は可能か?
かつ
余ったユニットでスピーカーを作る。
ってのが「バスレフバックロード」のコンセプトでした。
いろいろ測定しながら進めてきましたが、
結局のところ、動作はよく分からないままです。

また、視聴では、
気室やダクト駆動圧力には高めの閾値が感じられます。
つまり、一定以上の音量からやっと低音が出てくるってこと。
この件は測定で確認しようにも、
周辺ノイズ除去の必要性から、
パワーを入れないと測定できないというジレンマがあります。
音楽再生には音量が必要ってことは言えるかも。

まとめると
1 バスレフ部はバスレフ設計式がそのまま使える。
2 バックロード部とバスレフ部の隔離は不十分で干渉がある。
3 ダクト駆動とバックロードホーン駆動にはパワーが必要。

1と2は排他的なんだけど、どうしてこうなるのかなぁ?
ただの程度問題なのかなぁ。

お次のミッションはダクト共振の調整。
これまでは音質中心にダクトを調整してきました。
要はボーカルと中低音が好みか?
今度はF特補正の観点から
ダクトを微調整していきましょう。

現在、100Hzのダクト共振をもう少し下げた80Hzぐらいになるといいなあ、
と考えていたら、今気づきました。

最終決定の一つ前のダクト
  面積 3.8cm2
  ダクト長4.5cm
この共振周波数が実測で80Hzでした。
改めてこのパラメータで計算し直すと、
計算値は79Hz。

ドンピシャじゃんか!
ただ、こいつがボツになった理由は
量感が少なく、かつ、ボーカルは少し荒れ気味だったからです。
ダンピングは良かったんだけどね〜。
それでいてオーディオレベルの低音再生はダメ。(現状ダクトでもダメだけど)
そんな訳でより量感の出る現行ダクトに変更していたのでした。

量感はバックロード板作戦で、
ある程度バックロード部に頼れるようになったので、
F特はバスレフ部に任せることができるかも。

ごちゃごちゃ言わずに、このダクトに替えて、
音質がOKなら終わりかな。

音出しは後ほど。


     

音が離れる

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今日のはさらにどうでもいい話です。

スピーカーシステムを評価する上で
F特は重要項目ではありますが、
それだけじゃないよね。

スピーカーブログをいろいろと拝見しておりますと、
「音離れ」というフレーズをときどき目にします。
目の前のスピーカーから音が出ているように感じないことを指すのだと思います。

ユニット設計の方とお話すると、
ボイスコイルボビンと振動板との接続方法が「音離れ」に影響するそうです。

なんでも、ボビンを振動板より数ミリ前に出すのがいいのだとか。
つまり、ボビンが振動板を貫通するといいんだって。
フツーのユニットってそういう構造だと思ってましたが、
そうでないのがあるのかな?
センターキャップに隠れている部分だから
見た目では分からないな。

他にはエッジもなんたらこうたら…
「ふーん、そうなんだ、」
話は全然理解できません。

「音離れ」自体がいいことなのか分かりませんが、
私は「音離れ」大好きです。
先程の技術者も良いことだと捉えてますね。

まあ、ユニットによって「音離れ」の違いはあるなあとは感じます。

他に「音離れ」に影響するファクターとしては、
エンクロージャー強度があげられると考えています。
ゴム躯体のエンクロージャーを作った時は
ハードな躯体のスピーカーより明らかに「音離れ」が良かった。

また、音源ソースの違いでは、
逆相成分が多いと「音離れ」がいい。
そのかわり定位は酷い状態になりますが。
10ccのノットインラブ、井上陽水のリバーサイドホテルなんかは逆相成分を強く感じます。
古いところでは冨田勲のホルスト惑星とか。

ゴムの「音離れ」が良かったのは、
エンクロージャー強度が低いせいで
逆相成分が多くなってしまったからでしょうね。
コレはコレで結構良かったと自画自賛。

俗に音場型と言われるスピーカーは、
段違いの「音離れ」を披露してくれます。

逆相のみに頼ると定位との両立は成り立ちませんが、
「音離れ」との高度な両立を果たしていたスピーカーも経験したことあります。
スピーカー再生技術研究会副会長の松ヒトシさんの音場型スピーカー「アシュラ2」です。
長岡鉄男のヒドラ型でカシュー仕上げの美しさも含め、
信じられないほどの高みを示してくれました。
オフ会会場でセッティング調整も全くなしにあの音!
すごすぎる。
もう一度聴きたいな。

「バスレフバックロード」のユニット DCU-F102Wの「音離れ」はいいように感じてました。
しかし、箱をいじるほどに、それが悪くなっていく気がします。
しかも、大きな音域で変わったのではなく、
楽器によって違うような感じです。
トランジェントも含めて、小刻みな帯域でコロコロ変わる。

まず、ボーカルやトランペットはビシッと定位が良く、
スピーカーと同じ列に並びます。
まあ、実質6cm小口径フルレンジならこんなもんかな。
ところがベースラインは奥に定位して音像がでかい。
さらにベースでないストリングス、
例えばギターなんかはスピーカーに張り付いた感じで、
「音離れ」がよろしくない感じ。

同じ曲内でも楽器によって定位の前後位置が違うし、
音像サイズも違う。
いいのかな、コレで?
立体感のあるステレオと言われればそうなんですけど、
私はビミョーに気持ち悪い。

「バスレフバックロード」は
ハリボテの4ピース構造になっちゃっているので、
強度が足りないのでしょうね。
バスレフダクトまで含めると5ビース。
内部音圧と共振が入り乱れているんじゃないだろうか?
接着剤で全部くっつけてしまえば頑丈になって、
こんなことをグダクダ言う必要もないのだけれど、
こんなヘンテコデザインで確定してしまうのも別の意味で怖い。

モーダル解析したら分かるだろうけど、
そこまでしているビルダーもいませんし、
そもそもやり方が分かりません。

コレはひょっとして、
「錘」を置くと音が変わるだろうってヤツですか?
シリコンゴム錘を以前に沢山作ったな。
あれどこにいったんだろ。

ああ、やっぱりパラメータが多すぎる。
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