生形バスレフ、完成
生形バスレフが完成しました。
仕上げは水性スプレーでつや消し黒。
自作のユニットガードグリルをピカピカのステンレスブラスボルトで共締しました。
振動板のシルバーと合っていて、私ご満悦。
さあ、音出しです。
この瞬間が一番楽しい。
小型バスレフなので、中高音のエネルギーが大きく、やたらハイ上がりに聴こえます。
低音音圧が相対的に低いようで、エレキのベースラインも階調がはっきりしません。
やっぱり1.5リットル程度のバスレフではこんなもんなのかな。
と、かなりガッカリ状態だったのですが、
エージングが進むと俄然低音が出てきました。
エージングってオーディオオカルトの一つだと思っていましたが、具体的に効果があったとは認識を変えないとダメですね。
ゆるいダンパーのはずなのに何でエージングが必要なんだろ?
取り付けネジを途中で増し締めすると、さらにいい。
改めて、かなりのパワーを入れて聴き直します。
エレキ、ウッドベースはまずまずで、、今度は階調も分かります。
しかしながらスネアドラムの量感はさすがに苦しい。
ただ、生形さんが量感より分解能重視でわざわざスリットバスレフにしたと言っていましので、狙い通りかと。
歯切れのいい低音です。
アンプ側のブーストが有効なタイプです。
テスト曲の小田和正では、中高域のストリングスの分解能が抜群です。
ハープ、ギター、エレキギター、ピアノ等の似たようなストリングスの残響音再現も素晴らしく、それぞれの違いがよく分かります。
15kHz付近をわざと持ち上げたとマークさんが言っていましたが、感覚的にはピークは10kHz当たりに聴こえます。
小田さんはトライアングルを楽曲に多用するのですが、よく聴こえてこない。
このユニットは高域エネルギーは高いけれど、伸びはイマイチなのではないでしょうか。
それでもフルレンジとしては優秀な方でしょう。
OM-MF5は1kHzと2kHzの間に段差があります。
フルレンジ特有の分割振動の暴れですが、
ボーカルに影響するので、多分ここがフルレンジユニット設計のキモだと思います。
原理上避けることはできません。
OM-MF5はこの段差が4dB以内で優秀、とはマークさんのお言葉です。
実際は小音量時は非常にスッキリしたボーカルで、ビートルズの「アデイインザライフ」のモゴモゴしたポールのボーカルもスッキリ再生していて、さすがと感じました。
パワーを入れてもボーカル分解能の高さは変わりませんが、サ行のキツさが目立ちます。
ううむ、ちょっと聴き疲れするかも。
細い化繊を吸音材として入れましたが、
増やした方がよさそうです。
でも、そうすると低音が痩せそうだし、悩むなあ。
経験では、200Hz付近の音圧を下げると、
だいたいボーカルはスッキリするものなので、
中低音の厚みとどう両立させるかが問題になると思っています。
このスッキリボーカルがユニットの実力なのか、
それとも単に低音が出ないことによってなのかで評価がガラッと変わってきそうです。
音のレスポンスは音域間のバラツキもなく中程度で、これは聴きやすい特性です。
ダンプドバスレフの効果かな。
定位はもちろん良好です。
特にボーカルの中央定位は抜群です。
たた、音離れがイマイチ良くない気もします。
音場がスピーカーに張り付いている感覚です。
能率はfostex P1000との比較ではOM-MF5の方が劣ります。
ただ、パワーを入れてもやばい感じがしません。
かなりの大パワーに耐えられそうです。
パラメーターでは8W(Nom)ですが、マークさんは15Wまで処理できるように設計されている言っていることに偽りはなさそうです。
まあ、予兆なしに壊れる可能性もありますが。
雰囲気はモニタースピーカーっぽい立ち位置です。
パワーが入って、カチッとして、締まりがあり、残響音もソースをしっかり再生してくれます。
ロングストローク設計だから、ゆるい音かと心配していましたが、杞憂でした。
ただ、モニターとしてなら、中音のわずかな荒れが惜しい!
箱とユニット、合わせて1万円のスピーカーとなります。
1万円かぁ。
どういう層がこのセットを買うのでしょう?
ただ音楽を聴きたい人には高いし、
スピーカーマニアはそもそも買わないか、買っても低音再生に不満が出ます。
コンパクトなCDアンプには、最初からスピーカーが付いているし…
生形バスレフの長所は高分解能。
それゆえの小型エンクロージャー。
この良さって伝わりにくい。
それってオーディオに興味がない人にはとことん興味が出ない分野なんだよなあ。