いい音って?7
今度は低音再生です。
スピーカービルダーの皆さんは、
低音再生で四苦八苦、試行錯誤、粉骨砕身、臥薪嘗胆の日々だとお察しいたします。
今までの思考をまとめると、
高剛性振動板でショートストローク型、強力な磁力系を持ったユニットを向かい合わせに振動板を接着したものを使います。
エンクロージャーは密閉型の一部を解放してパイプ等で音道迷路を作ります。
との条件で忠実な低音再生するためにはどうしたらいいかを考えます。
最初におことわりいたしますが、
白旗です。
密閉型は背圧活用で低音増強はできないので、口径を大きくしないと十分な低音再生はできません。
都合のいいことに大口径のフルレンジは、たいがいハードダンパーかつショートストロークです。
だけど、大口径ゆえ、なまじ能率がいいので、強力な磁力系を持っているとは限りません。
具体的にはこんなイメージになります。
エンクロージャーは極力大きく、しかも内部反射をなくすために、吸音材を多用。ただし、ユニット付近には貼りません。
さらに振動板面積相当の穴を背面に開けて、パイプまたはサブチャンバーと気室をつなぎます。
サブチャンバーは長いほどよく、
内部に吸音材を充填します。
共鳴管の動作も困るので、共振周波数を可聴帯域を外し、
先端に行くに従って狭くなる方が良さそうです。
吸音材充填密度はユニットから遠くなるほど高くし、擬似的な背面解放バッフルの動作を引き出します。
サブチャンバー先端はユニットから遠い位置で解放します。
ユニットも箱も大きいので、厚い板に補強が必要となります。
ただし、バッフルだけは強度を確保したなら薄いほどいいです。
バッフルが厚いと板厚が一種のショートホーンの働きをして、振動板の動きに制限が出ます。
内面での一次反射の影響を避けるためにも、ユニットと側板の距離は大きいほどいい、
つまり、バッフル面積は大きいほどいいことになります。
また、ユニット背面の空気の動きやすさの点でもバッフルは大きいほどいいです。
そうなると、結論としては同体積であれば、奥行きの短い大きなバッフル面を持ったエンクロージャーがよい、となります。
ただし、バッフル表面反射の悪影響を減らすための何かはしないとダメそうです。
起毛素材を貼るとか、ミゾを掘るとか?
ただし、空気の動きを阻害しないやり方でないと本末転倒になります。
空気の動きやすさと音波反射は相関関係がありそうで、コントロールが難しそうです。
どうすればいいんだろう?
取り付けるユニットは、大口径、大マグネット、ハードダンパーのものを向かい合わせにコーン紙を接着したものを使います。
つまり、2個で1ch。ステレオで4個のユニットが必要となります。
現実には逆ロールエッジのマグネットの大きな大口径フルレンジが向いています。
完成の見た目は、
巨大な箱に逆さまにユニットが取り付けられて、
背面に吸音材がつまった穴がある。
激しくカッコ悪いな。
思考実験からはこんな変なスピーカーがいいスピーカーという結論になってしまいました。
ああ、どうしよう。
作ってみようかな。
条件に合うユニットがあるかな?
いやいや、こんな変なスピーカーを作っちゃいけない。
まだつづく