いい音って?3
前回の思考で、高剛性振動板、大マグネット、小ストロークタイプがよいユニットとムリやり結論づけたので、
そこを出発点にエンクロージャーも考えていきましょう。
この3条件、高剛性振動板、大マグネット、小ストロークタイプのユニットがあったとしたら、エンクロージャー内の空気をダンパー代わりにする必要もないので、振動板に関わる空気抵抗は少ないほど振動板は動きやすくなります。
ユニット背面の空気抵抗は少ないほどいいので、フレームは細く、ボビン内の空気抵抗にも配慮したものがいいでしょう。
バッフル厚は薄い方が振動板背面への空気抵抗が少なくなります。
そういう意味では背面空気抵抗が理論上ゼロの同相ダンデム駆動は悪くありません。
話は逸れますが、向かい合わせにした2つのユニットの振動板を接着したらどうなるか、一度やってみたい実験の一つです。
構造上も対称形になって、悪くないはずなんだがなあ。
閑話休題。
背面空気の抵抗が少ないエンクロージャーは背面解放型。
でも、背面解放に適したユニットの存在ってあまり聞いたことがありません。
「スピーカー作りはロクハンにはじまり、ロクハンに終わる」
そう言わしめたダイヤトーンの銘機P-610は、平面バッフルに向いているというのは聞いたことはありますが、他はどうなんでしょう?
現在の市販ユニットは背面解放で使われるようにはおそらく設計されていないので、
後面開放で使うとすればエッジとダンパーを加工した方が良さそうです。
硬い塗料で塗装してもいいかもしれません。
あるいはダンパー追加とか。
かつて、ユニットのあちこちにカシューを塗るっていうのが流行りましたが、こういう理論だったのでしょうか?
振動板条件では高剛性のみを挙げました。
一般的に良い振動板は、高剛性、高内部損失、そして軽量というのが重要な条件と言われています。
ここでは、マグネットは超強力という前提なので、軽くなくてもセーフ。
内部損失は高いにこしたことはないのですが、
そこは周波数特性にからんだ部分なので、今は条件に入れません。
ただ、内部損失は高い方がいいことは間違いないです。
さて、高剛性はいかに実現するのか?
かつてリブ入りのコーン紙のウーハーユニットがいろいろありました。
リブには剛性を上げるリブと分割振動をコントロールするリブの2種がありますが、ここでは剛性の方です。
剛性向上のリブ入りコーンと言えば、ケンウッドのLS-1000。初めて聴いた時はハイスピードでソリッドな低音に度肝を抜かれました。懐かし〜い。
あるいはビクターSX-10。変な形のクルトミューラー社コーン紙が思い出されます。
現行フルレンジだと、fostex FE208EΣ (24,447円)。4つ使うと約10万円。
……
でも自作でリブ追加は失敗の予感しかしません。
リブではなく、スピーカービルダーの定番のコーン紙塗装で剛性を上げるっていうのもアリではないでしょうか。
実際に塗っていた目的は、m0を上げてf0を下げたり、異質素材をコーティングすることによって音質コントロールをしたり、というのがほとんどでしたが、カシューのような硬い塗料であれば剛性も上がるでしょう。
あるいはセラックニスとか。
また、ここでまた接着タンデムタイプですが、剛性アップにもいいんではないかい?
振動板重量が倍になっても、マグネットも2倍になるため、駆動力では問題は出ません。
ダンパーも2個になりますが、振動板重量も2倍になるので、制動力はプラスマイナスゼロ。
駆動力、制振力共に変わりがないので、もともとダンパーとマグネットが強いユニットでないとダメってことになります。
その代わり、振動板の剛性アップと対称構造が利点となります。
また、振動板がパッシブでは動きにくくなるので、定在波等の背圧影響を受けにくくなるかもしれません。
つづく
スポンサーサイト